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Introduction

演劇界の実力者たちが織りなす、
現実、虚構、夢が錯綜する異色サスペンスの傑作が生まれた。

出演はマレビト会の田中夢、青年団、元サンプルの奥田洋平と古屋隆太、五反田団などに出演の鮎川桃果ら、映画がまだ知らない演劇界の実力者たち。そして三宅唱監督作品常連の柴田貴哉。
監督は玉田企画などに出演の俳優山科圭太。演劇界で彼らと出会い、触発され自らが監督した。東京塩麹の額田大志が音楽を担当し、バンドメンバーによるジャジーなサウンドが映画の世界をより豊かにしている。緻密な演技と大胆な演出、色気のある画面、そしてヨーロピアンなムードが“大人”を楽しませる。

現実と虚構、夢や回想のシーンが混ざり合い、観るものを揺さぶり“真実”の在処を提示する。2人の男に愛された女と、彼らを描く小説家とその恋人。5人の男女が織りなす艶やかなサスペンス・ラブストーリー。
第23回サンフランシスコ・インディペンデント映画祭選出。

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Story

「事実」は記憶や語り、創作を経て、やがて「真実」へ

小説家のハルヒコは、新作のアイデアのため、従姉のヨウコからある夜の出来事を聞き出す。3年前、ヨウコが夫のアキラと営んでいるバーに2人の親友ジロウが訪れ、久しぶりに再会する。ヨウコとジロウは愛人関係でもあった。たわいもない話で盛り上がるが同時に緊張感も。アキラが目を離した隙に、ヨウコとジロウは消えていた。高架下で燃え上がる2人。それをアキラは見ていた…
この3人をモデルに小説を書き進めるハルヒコ。ミステリアスなヨウコにのめり込んでいくハルヒコを恋人のリリコは止めようとするが、現実と夢、そして小説の世界までもが混ざり合い、翻弄される。

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Coments

※五十音順、敬称略

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Cast

Staff

監督/編集:山科圭太

1985年、兵庫県生まれ。神戸芸術工科大学にて建築を学ぶ。その後、映画美学校フィクションコースに入学し、卒業後、俳優、監督、スタッフとして映画に関わっていく。主な映画出演作は、企画も担当した『あの日々の話』(19年/玉田真也監督)や『僕の好きな女の子』(20年/玉田真也監督)、『stay』(20年/藤田直哉監督)など。演劇では、玉田企画の『今が、オールタイムベスト』(17年、20年)、『かえるバード』(19年)、マレビトの会『福島を上演する』(16~18年)など。映画『Playback』(12年/三宅唱監督)では助監督を務め、今作は長編1本目の監督作となる。

「素晴らしい俳優とスタッフの仕事が一つ一つのカットに刻み込まれています。ただただ、スクリーンに映る画面を見つめて欲しです。観終わったあと、きっといろんな思考が浮かび上がると思います。誰かと、あるいは僕たちと、それについて話してもらえたら幸いです」

山科圭太
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Description

 映画『あの日々の話』に企画、出演し、映画や舞台、ドラマで活躍する俳優山科圭太が、自身の活動のなかで巡り会った魅力的で実力のある俳優仲間の存在を世に知らしめるべく企画した映画『ボディ・リメンバー』。
主演はマレビトの会などに出演し育児と俳優活動を両立させている女優田中夢と、映画『やくたたず』の主演をはじめ三宅唱監督作品などに出演する柴田貴哉。
 田中演じる人妻ヨウコが若き小説家ハルヒコ(柴田)に、自分と夫アキラとその友人ジロウのある夜の出来事を話すところから映画は始まる。ヨウコは密かに続いてきた三角関係と、もつれた愛憎がその夜あらわになったと言うが… 何が現実なのか、愛し合うのは誰と誰なのか。ヨウコの語りを小説として書き直すハルヒコとそれを見守る恋人リリコの日常が蝕まれていく。
 アキラ役に多数の舞台や大河ドラマ「青天を衝け」などに出演する奥田洋平、ジロウ役に青年団、サンプルをはじめ数多くの舞台、ドラマ、ナレーションで活躍する古屋隆太。「古屋と奥田」というユニットを組んでいる2人の演技の応酬は本作の見所のひとつ。恋人が物語世界に没頭することに苛立つリリコ役に、五反田団の舞台や多数のドラマ、CMなどで活躍する鮎川桃果。
 本作は、ヒッチコック『舞台恐怖症』(50年)における登場人物の嘘を映像化した回想シーンや、ミケランジェロ・アントニオーニの映画、特に『情事』(60年)と『欲望』(66年)に見られるような失踪と探索の主題、デヴィッド・リンチの諸作品が繰り返し述べる、現実、日常が破れやすい薄い皮膜であることに通じる世界認識がある。シナリオは、マレビトの会メンバーであり文字の劇場主宰の三宅一平と、監督山科圭太による。虚実入り混じるストーリーは出演俳優に同じキャラクターが別の状況に置かれる場面の演技を要求し、いくつもの密度高い場とエモーショナルな芝居を導き、監督が知る演技者たちの発光の一瞬を引き出す。
 俳優が監督をする映画づくりは古今東西多く存在する。バスター・キートン、山村聡、ジョン・カサヴェテス、クリント・イーストウッド、佐野和宏… ジョディ・フォスター、ショーン・ペン、ジョージ・クルーニーもだ。その諸作と企画に一見共通点はないが、その系譜の最先端に本作『ボディ・リメンバー』を置けばはっきりすることがある。そこには演技者が演技と演技者を愛していることと、映画がそれを不滅のものにとどめる、という思いがある。そして本作を観ることで観客も、ボディ=肉体・存在(出演者の)を、リメンバー=記憶するという企ての共犯者となるだろう。

千浦僚(映画文筆)

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Statement

フィクションをくぐり抜けてはじめて“真実”は得られる。

 俳優が映画から自立し、物語から炙り出される作品にしたかった。そこで、現実や回想、夢や小説内など、様々な時空を織り交ぜ、観客が、そのシーンがいつどこなのかうまく認識できないようにした。そうすることで、観客は俳優が演じている役を見失い、ただ目の前に映る俳優自身を見るしかなくなると考えたからだ。しかしそうする一方で、もう一つの主題が浮かび上がった。
それは“真実とは何か”という問いである。

 映画『ボディ・リメンバー』は、“真実とは何か”を巡る物語でもある。劇中のセリフ「本当のこと」=真実の捉え方の違いから、ハルヒコとリリコは衝突する。
 小説家のハルヒコは、真実の在処を知っている。ミステリアスな女ヨウコの語り、あるいは彼女自身にのめり込み、信じて疑わず、一見騙されているように見える。しかし、ハルヒコはヨウコの表面的な部分を見ているのではなく、ヨウコの虚偽から真実を捕らえようとする。実際ハルヒコのセリフにもあるように事実は「どうでもいい」のである。一方リリコは、「事実」を追い求めるあまり、「真実」をつかむことができず彷徨う。フィクションの中にこそ真実が存在することを理解しない限り、真実には到達できない。2人が追い求めているものは根本的に違うのである。しかし、リリコは自ら過去を物語ることを体現し、無意識的に真実の在処を獲得するのである。そして、その後に続く海のシーンでのハルヒコの「本当のこと」についての宣言に、リリコは「オッケー」だと了解する。2人の真実への捉え方が共有された瞬間だ。

 本作は、ヨウコの語り(虚偽)、そしてアキラとジロウの加担によって形作られるフィクションをめぐり、ハルヒコはそこから真実を、リリコは事実を掴もうとする。過去の記憶、夢、小説内のシーンが混ざり合い、それによって“俳優”の存在が浮かび上がること、そして“真実”の在処の再考を促すことに挑戦した。ある主体の虚偽からしか得られない真実は、俳優が役を通してしか現れないあの奇跡とも結びついているだろう。

監督 : 山科圭太

Theater

特別鑑賞券¥1300(税込)発売中

(当日一般¥1900の処)

特典ステッカー付き(数量限定)

※上映劇場、日程が変更となる場合がございますので、ご鑑賞の前に必ず各劇場にご確認ください。

Credit

田中夢 奥田洋平 古屋隆太 柴田貴哉 鮎川桃果 上村梓 神谷圭介 影山祐子

監督/編集:山科圭太 脚本:三宅一平 山科圭太 プロデューサー:井前裕士郎 山科圭太

撮影/照明:松島翔平 録音/整音:織笠想真 助監督:大杉拓真 美術:福島奈央花 衣装:早野アレグザンドラ

音楽:額田大志 スチール:高羽快 メイキング:冨永圭祐 劇中イラスト:松本元 宣伝美術:二井賢治郎 宣伝:細谷隆広

英語字幕:スミスさやか

製作/GBGG Production:山科圭太 株式会社Standby 有限会社レトル

2020/日本/85分/カラー/ステレオ/アメリカンビスタ

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